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建て替えか、リノベーションか。建築家は何を見て判断する?
杉本です。
今の家に、これからも住み続けるか。それとも、一度建て替えて、新しくつくり直すか。
長く暮らした家や、親から受け継いだ家では、簡単には決められないことだと思います。間取りの使いにくさや冬の寒さは気になる。でも、庭の木や、昔からある建具には愛着がある。
そうした家を考えるとき、最初から建て替えかリノベーションかを決めずに、まずは建物と暮らしの両方を見ていきます。
今の家の、何に困っているのか
最初に整理したいのは、これからどんな暮らしをしたいかということです。
台所にいると家族の様子が分からない。使わない部屋が増えている。庭はあるけれど、居間からほとんど見えない。同じ「住みにくい」という言葉でも、その中身はそれぞれ違います。
間取りを少し組み替えることで解決できることもあれば、建物全体の構成から考え直した方がよいこともあります。岸和田のリノベーションでは、大きな家を親世帯と子世帯が暮らす二世帯住宅へ改修しました。2階では開口部の新設や減築によって光と風の通り道を整え、バルコニーをテラスとして使えるようにしています。
建物を生かしながら、暮らしに合わせて使い方を変えていく。そうした可能性も、最初の段階で一緒に考えたいところです。
反対に、今の家で気に入っているところも聞いておきたいです。朝日が入る場所や、庭を眺める窓辺。長く暮らしている方だから分かる心地よさは、図面だけでは読み取れません。
残せるかどうかは、建物を調べてから
暮らしの希望と合わせて、建物の状態を確認します。
どんな構造で、これまでどのように使われてきたか。傷みや雨漏りの跡はないか。残っている図面と、実際の建物が合っているか。
間取りを変える場合には、取り除ける壁や、残す必要のある柱・梁、設備配管の位置なども関係してきます。
仕上げを見ただけでは分からない部分もあるので、必要に応じて追加の調査を行い、判断できることを増やしていきます。ここを曖昧にしたまま、先に新しい間取りや内装だけを決めないことが大切です。
亀岡の別荘リノベーション2では、湿気に悩まされていた建物の断熱・防水を見直し、耐震補強と合わせて吹抜けを設けました。見た目の変更と、使い続けるための性能の改善を、一緒に考えた改修です。
費用は、工事の範囲を揃えて比べる
リノベーションは、既存の建物を使う分、必ず安くなると思われるかもしれません。ただ、構造の補修や設備の更新などが広い範囲に及ぶと、費用も変わってきます。
比べるときには、どこまで直して、どのような状態にするのかを揃えて考える必要があります。内装を新しくする工事と、断熱や設備まで見直す工事では、同じリノベーションでも内容が違います。
解体や仮住まい、調査後に必要となる工事も含めて、全体の予算を考えておきたいです。建て替えも含め、それぞれの案でかなえられること、残る制約、必要な費用を並べてみる。そうすると、ご家族に合う選択が見えやすくなります。
残すことで生まれるよさもある
古い家には、新しくつくるだけでは得られない魅力があります。使い込まれた木の表情や、庭との関係、その場所に馴染んだ建物の佇まい。
それらを生かしながら、光の入り方や動線を整えることで、住まいの印象が変わることがあります。一方で、今の建物では希望する暮らしに無理が生じる場合もあります。そのときは、建て替えも含めて考えます。
大切なのは、残すこと自体を目的にせず、これから気持ちよく暮らせるかどうか。
建物をよく調べ、ご家族の話を聞きながら、残すものと変えるものを、一緒に整理していきたいと思っています。
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