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HOME PLANNING

片づく家は、収納の量だけでは決まらない。 リノベーションで整える暮らし

杉本です。 帰ってきたら、鞄をダイニングの椅子に置く。届いた郵便物は、とりあえずテーブルの端へ。片づけたつもりでも、数日すると同じ場所にものが集まっている。そんなことはないでしょうか。 リノベーションで収納を増やしたいとき、まず見ておきたいのは、ものがどこに置かれているかです。収納が足りないのか。それとも、使う場所としまう場所が離れているのか。暮らしの動きをたどると、必要な収納の形も見えてきます。 しまう前に、戻す場所を考える よく使うものほど、使う場所の近くに戻せると楽です。玄関で脱ぐ上着、食卓で使う薬や文房具、洗面所で使うタオル。大きな納戸がひとつあっても、毎回そこまで運ぶとなると、つい手前に置いてしまいます。帰宅してから手を洗い、着替えて、居間に座るまで。朝起きてから出かけるまで。その途中で、何を手に取り、どこに置いているかを聞いていきます。いつも鞄が置かれる椅子は、使い方を考える手がかりにもなります。 まだ目を通していない書類や、明日また使うものには、一時的に置ける場所も欲しいところです。何でもすぐに奥へしまい込む計画では、かえって使いづらくなります。テーブルの近くに小さな置き場をつくるだけでも、食事をする場所を空けやすくなります。 大きさは、ものと使い方から決める 収納は広ければ使いやすい、というわけでもありません。奥行きの深い棚に小さなものを入れると、手前のものを動かさないと奥に届かない。高い棚に毎日使う食器があると、出すたびにひと手間かかります。 今持っているものの量に加え、寸法や使う頻度も確かめます。掃除機を立てて入れるのか。書類を箱ごと並べるのか。家族の誰が使うのか。同じ幅の棚でも、棚板の高さや扉の開き方で、使い勝手は変わります。充電しながらしまう機器があれば、コンセントの位置や熱のこもり方も一緒に考えます。収納の前に立つ場所、引き出しを開けたときに通れる幅まで含めて、間取りの中に納めていきます。既存の押入れや物入れも、そのまま使うか、内部を組み替えるかを検討します。場所は使いやすいけれど棚が合わないのか、出入口から遠くて使われていないのか。今の収納の中を見せていただくと、図面だけでは分からないことがよく見えます。
収納も、部屋の景色の一部 使いやすさと同時に、居間に座ったときにどう見えるかも大切です。壁一面を収納にすると量は確保できますが、扉の高さや色、壁との関係によっては、部屋が窮屈に感じられることもあります。 茨木のリノベーションは、鉄筋コンクリート造の戸建住宅の改修です。ホテルのようなインテリアにしたいというご希望に合わせ、周囲の壁面に造り付けの収納を計画しました。ニッチや間接照明を組み込み、収納の壁にも視線の向かう場所をつくっています。 普段使う細かなものは扉の内側へ。好きな器や本は、少しだけ見える場所へ。どこを隠して、どこを見せるかを考えることで、収納は部屋の表情をつくるものにもなります。窓や出入口との並びを見ながら、壁全体として整えたいところです。 暮らしが変わる余地を残す 今の持ちものにぴったり合わせることは大切ですが、すべてを細かくつくり込むと、暮らしが変わったときに使いにくくなることもあります。子どもの持ちものが変わったり、自宅で仕事をするようになったり。しまうものは、少しずつ変わっていきます。 高さを動かせる棚板や、用途を決めすぎない区画を設ける。家族ごとの場所は分けながら、使い方を変えられる部分も残す。造り付けにするところと、家具で対応するところを選びながら、先の暮らしも考えておきたいです。家族全員に、どこに何があるかが分かることも大事です。いつも片づける人だけが把握している収納にならないよう、出す人と戻す人の両方を想像しながら場所を決めていきます。 長く住んできた家には、すでに家族の動き方があります。よく通る場所や、自然とものが集まる場所を見ながら、戻しやすい位置へ収納を組み直していく。それも、リノベーションでできる暮らしの整え方です。 片づけるために毎日頑張らなくても、使ったものが自然と元の場所へ戻る。そんな距離感を、間取りと収納の両方から考えていきたいと思っています。
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