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DESIGN IDEAS

中庭を、眺めるだけの場所にしない。室内と庭をつなぐ軒と縁側

杉本です。 庭のある家に住んでいても、外に出るのは水やりのときくらい。そんなこともあるかもしれません。庭が近くに見えることと、気軽に出て過ごせることは、少し違います。 食事の後に、椅子を少し外へ出す。夕方、靴を履かずに縁側へ腰掛ける。庭の使い方を考えるときは、特別な休日より、普段のそんな場面を想像しています。 外に出るまでに、何をするか 居間から庭へ出たいのに、廊下を通って玄関へ回らなければならない。窓は開くけれど、目の前に家具があって通りにくい。それだけで、庭へ出る機会は減ってしまいます。 まずは、よく過ごす場所と、庭への出入口を近づけること。食卓から飲み物を運ぶのか、ソファから立って出るのか。図面に家具を置き、実際の動きを重ねて考えます。 外履きをどこに置くか、庭の椅子をどこへ片付けるかも、小さなことですが大切です。準備をしなくても、少し出てみようと思える。そのくらいの距離に庭があると、日常の使い方が変わってきます。 軒下に、居場所をつくる 庭を使おうと思っても、真夏の日差しが強ければ、長くは座っていられません。室内と庭のあいだに日陰があることは、外で過ごすきっかけになります。 上芳養のコートハウスでは、南側のLDKと庭のあいだに、軒下の縁側を設けました。雨や風の強い地域であることも踏まえ、水平に伸びる軒を住まいの大切な要素としています。 縁側は、室内のように整えて使わなくてもよい場所です。庭仕事の途中で腰を下ろす。子どもが庭で遊んでいるあいだ、少し離れて見守る。そうした使い方も考えられます。 軒が深ければよいというわけでもありません。室内に取り込みたい冬の光や、座ったときに見える空との関係もあります。庭、軒、窓を別々に決めず、断面を描いて確かめていきます。椅子を引いても通れるか、座った足元が落ち着くかも見ておきたいです。
窓を開けた後の、室内も考える 大きく開く窓があっても、そのすべてを出入口にする必要はありません。眺める窓、風を取り込む窓、外へ出る窓。それぞれの役割を考えると、家具を置く場所も決めやすくなります。 窓のそばには、室内側にも腰掛ける場所が欲しいですね。暑い日や寒い日は無理に外へ出なくても、庭の近くで本を読める。窓を閉めている時間も、庭との関係は続きます。 上芳養のコートハウスでは、LDKと隣り合う和室を可動の間仕切りで一体に使えるようにしています。普段の居場所を庭に向けてどう広げるかは、窓だけでなく、その内側の部屋のつながりとも関わっています。 窓を開けたときの通り道や、網戸の位置も合わせて確認します。見た目の開放感と、毎日無理なく使えることの両方を整えたいところです。 つながって見える床にも、役割の違いがある 室内の床と縁側の高さが近いと、外へ出る動作は自然になります。ただ、外には雨が降り、風も吹き込みます。同じ高さに見せたいという希望だけで、窓まわりを決めることはできません。 庭へ流れた水をどこに導くか。強い雨のときにも室内へ入り込まないか。掃除や点検ができるか。床の高さ、勾配、排水、窓の納まりを一緒に検討します。 素材のつなぎ方も、同じものを使う方法だけではありません。木の床から石へ変わるところが、自然に靴を履き替える場所になることもあります。暮らし方と雨の扱いに合った境目をつくることが、長く使える庭につながります。 庭を立派につくることと同じくらい、そこへ出る手前を丁寧に考えたいと思っています。今日は少し外で過ごそうかな。そんな気持ちが自然に起こる場所を、室内と庭のあいだにつくっていきます。
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