DESIGN IDEAS
二世帯住宅は、どこまで分ける?
杉本です。
親と子が近くに暮らせるのは心強い。でも、食事も休日も、いつも一緒でなくていい。二世帯住宅を考えるときには、そんな気持ちを、そのまま間取りの話にしてよいと思っています。
玄関は二つ必要なのか。キッチンを分けると、あまり顔を合わせなくなるのか。最初から形を決める前に、一緒にしたいことと、自分たちのペースで続けたいことを整理していきます。
三つの型を、暮らしに置き換えてみる
二世帯住宅には、大きく分けて、完全同居型、一部共有型、完全分離型と呼ばれる考え方があります。 完全同居型は、寝室などの個室を分け、LDKや水回りを一緒に使う形。一部共有型は、玄関だけ、浴室だけというように、共有する場所を選ぶ形です。完全分離型は、玄関やキッチン、浴室などをそれぞれに設け、各世帯で日常生活ができる形になります。 ただ、この名前だけでは、住んだときの距離感までは分かりません。玄関を共有していても、その先ですぐに各世帯へ分かれる家と、居間を通って個室へ向かう家では、毎日の接し方が違います。完全分離でも、庭先で顔を合わせたり、休日にどちらかの食卓を囲んだりすることはできます。形式を選んで終わりにせず、家の中をどう行き来するかまで見ていきたいところです。 また、世帯の組み合わせは親と子に限りません。あけぼのリノベーションでは、元料亭をご兄妹が上下階で暮らす二世帯住宅へ改修しました。誰と住むかによって、必要なつながり方も変わってきます。食事と来客から、分けたい場所を考える
例えば、夕食を一緒にするのは毎日なのか、週末だけなのか。料理をする時間や、台所を片付けたいタイミングは同じなのか。キッチンを共有するかどうかは、こうした小さな習慣に関わります。 食卓は一緒でも、朝にお茶をいれる場所は手元に欲しいということもあるでしょう。反対に、調理も片付けも一緒にするなら、二人が立つ幅や、食器を戻す場所を整える方が役立つかもしれません。 来客時の動きも想像してみます。友人を招いたときに、もう一方の世帯の居間を通る必要があるか。洗面やトイレは、どこを使ってもらうか。自分たちが休んでいる日でも、相手の来客を無理なく迎えられる配置を考えます。 同じ家族でも、落ち着く過ごし方はそれぞれです。打ち合わせでは、ご家族全体の希望と合わせて、一人ずつ大切にしたいことを聞いておきたいと思います。分けた先にも、心地よい居場所をつくる
岸和田のリノベーションでは、築約二十年の大きな家を、1階に親世帯、2階に子世帯が暮らす二世帯住宅へ改修しました。
工事は段階を分け、まず1階だけで親世帯の日常生活ができるように整えています。2階では開口部の新設や減築によって光と風の通り道をつくり、拡張したバルコニーを玄関へのアプローチとテラスにしました。
世帯ごとの場所を決めるときには、どちらも気持ちよく過ごせることが大切です。片方の居間にはよく光が入り、もう片方は通路の奥になってしまう。そうした偏りがないか、窓辺の居場所や外とのつながりも見比べます。二つに区切れることと、それぞれが居心地よく暮らせること。その両方を、ひとつの建物の中で考えていきます。
岸和田のリノベーション|作品詳細を見るあけぼのリノベーション|作品詳細を見る二世帯住宅・多世帯住宅の設計と事例を見る