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DESIGN IDEAS

長く住むための平屋。段差の先まで考える 毎日の動きと、家族の変化から

杉本です。 これからの暮らしを考えて、階段のない平屋にしたい。家づくりのきっかけとして、よく分かる希望です。寝室も居間も同じ階にあると、暮らしの動きを一つの階の中で組み立てられます。 ただ、長く住みやすい家にするためには、段差を減らすことに加えて、毎日の動きや部屋の使い方まで見ておきたいところです。将来への備えと、今どんな時間を楽しみたいか。その両方から平屋を考えてみます。 一日の動きを、家の中でたどってみる 朝、寝室を出て洗面へ行く。洗濯物を運び、買い物から帰ったら食材をしまう。こうした一連の動きを図面の上でたどると、平屋でも意外に遠回りがあることに気づきます。 寝室とトイレが近いか。玄関から台所まで、荷物を抱えていくつも扉を通らないか。収納を設ける場所も大切です。広い納戸があっても、使う場所から離れていると、日用品が居間や廊下に出たままになりやすくなります。 動線は、短ければそれでよいわけでもありません。寝室を水まわりに近づけるときには、音や家族の生活時間との関係を見ます。移動しやすさと、静かに休めることを一緒に考えたいです。 室内に段差がなくても、駐車場から玄関までに上り下りがある場合もあります。庭へ出るときの足元や、雨の日に傘を畳む場所まで含めて、敷地の入口から暮らしをたどってみます。 家族が変われば、部屋の使い方も変わる 今は子ども部屋が必要でも、独立した後は別の使い方をするかもしれません。普段は一人か二人でも、休日には家族が集まる家もあります。いつも使う広さと、ときどき必要になる広さを分けて考えると、間取りを整理しやすくなります。 岩出のコートハウスは、一人で暮らす住まいとして計画しました。仏事やお孫さんの帰省に合わせて使えるよう、三室の和室を建具で仕切り、開けばつながる構成としています。日常と、人が集まる日の両方を考えた間取りです。 上芳養のコートハウスでも、和室の続き間を可動の間仕切りで開閉し、LDKと一体で使えるようにしています。部屋を増やすだけでなく、つながり方を変えることで使い方に幅を持たせています。 将来のすべてを決めることはできません。それでも、家具を替えれば別の用途に使える部屋や、開閉して広さを調整できる場所があると、そのときの暮らしに合わせて考えやすくなります。 一室を寝室にも仕事部屋にも使いたいなら、収納や扉、窓の位置にも関わります。どんな家具を置けるかまで考えておくと、使い替えの可能性が具体的になります。名前だけを「多目的室」にしておくこととは少し違いますね。
手入れを続けられる大きさと、納まりにする 住まいの使いやすさには、掃除や手入れも含まれます。大きな窓から庭が見えるのは気持ちがよいですが、ガラスをどう拭くか、外側へどう回り込むかも、一緒に考えておきたいところです。 高い位置の窓や照明、設備の点検口なども同じです。見た目を整えながら、必要なときに手が届くか、作業する場所を確保できるかを確認します。完成した瞬間だけでなく、使い続ける場面まで図面に重ねます。 庭については、広さに加えて、何を植え、どのくらい手をかけたいかを伺います。木の成長を楽しみたい方もいれば、室内から眺めることを中心にしたい方もいます。無理のない管理の仕方に合わせて、植栽の範囲や足元の仕上げを考えます。 手入れをすべて減らすことが、よい暮らしとも限りません。庭仕事が楽しみなら、そのための水栓や道具の置き場があると使いやすい。楽しめる手入れと、負担になりそうな作業を分けて考えることが大切だと思います。 素材も、毎日触れる場所と、雨や日差しにさらされる場所では選び方が変わります。風合いの好みを伺いながら、汚れたときの掃除や、傷んだ部分の直し方まで合わせて考えます。 将来に備えながら、今の楽しさも残す 先のことを考えるほど、備えておきたいことは増えていきます。ただ、将来のためだけに間取りを決めてしまうと、今の暮らしで好きなことが後回しになることもあります。 岩出のコートハウスでは、キッチンのカウンターに友人と集まり、中庭を眺めながら過ごせるようにしました。来客のために特別な一室を用意するだけでなく、日常の場所で一緒に時間を過ごせるよう考えています。 庭を見ながらお茶を飲む。好きな本を近くに置く。友人を招いて食事をする。そうした今の楽しみを、家の中のどこに置くか。必要に応じて使い方を変えられる余地とともに、最初の設計から大切にしたいです。 長く住む平屋を考えることは、毎日の小さな動きと、これからも続けたい暮らしを見つめることだと思います。シンクスタジオでは、ご家族の話を伺いながら、今に合う間取りと、後から変えていける部分を一緒に整理しています。