本文へスキップ
DESIGN IDEAS

好きな家具とアートから、住まいを考える

杉本です。 新しい家でも使いたい椅子がある。いつか飾りたい絵がある。家づくりの相談で、そうしたものを見せていただけると、暮らしのイメージがぐっと具体的になります。 どこで手に入れたか、どんなところが好きか。そこには、部屋数や面積の希望だけでは分からない、その方の好みが表れます。家具やアートのことは、間取りを決める前から、一緒に話しておきたいと思っています。 一脚の椅子から、窓と居場所を考える 好きな椅子があるなら、まずその椅子に座って何をしたいかを考えます。庭を眺める。音楽を聴く。本を読む。使う場面によって、窓との距離も、そばに必要な照明やテーブルも変わります。 背の高さや肘掛けの形、座ったときの姿勢も大切です。図面上の家具の四角だけを見ていると、椅子の背が庭への視線を遮ったり、ゆったり座るための奥行きが足りなかったりすることがあります。 新庄のスクエアコートハウスの写真では、ソファとテーブルの向こうに中庭が見えています。外周の開口を抑え、中庭から光を取り込むこの住宅は、家具と窓、庭の位置関係を考える手がかりになります。座る場所からどんな景色が見えるかを、建築と家具の両方から確かめたいところです。 テーブルは、使っているときの大きさで見る ダイニングテーブルを選ぶときは、天板の寸法と合わせて、椅子を引く場所や、人が後ろを通る場所を考えます。普段は家族で使い、ときどき友人を招くなら、その両方の人数で配置してみます。 大きなテーブルの端に座った人が立ち上がりやすいか。キッチンから料理を運ぶときに、くつろいでいる人の前を何度も横切らないか。窓を開けたり、庭へ出たりする動きとぶつからないか。家具を置いた後の動きが、間取りの使いやすさを決めます。 明の位置も、テーブルとの関係で考えたいところです。吊り下げる照明なら、器具の大きさや高さが、向かい合う人の顔や庭の見え方に関わります。家具の候補が早く分かるほど、天井や配線まで一緒に整えられます。
絵を掛ける壁を、間取りの初めから用意する アートを飾るなら、作品を見たい距離から、壁の位置を考えます。部屋に入ったときに正面で見るのか、ソファからゆっくり眺めるのか。小さな作品に近づいて見る楽しみと、大きな作品を少し離れて見る楽しみでは、周りに必要な空間も違います。 額まで含めた寸法と重さ、壁への取付方法を早めに共有できると、必要な下地を計画できます。壁の中央にスイッチや空調の操作盤が来ないよう、設備の配置も同時に検討します。 光の当たり方にも気を配りたいです。直射日光や照明への配慮は作品の素材によって異なるため、必要に応じてギャラリーなどに確認します。額のガラスへの映り込みも含め、作品が見やすく、無理なく飾り続けられる場所を探します。 好きなものが増えていく余地を残す 今持っている家具に合わせることと、将来の変化に備えることは、両方考えておきたいです。新しい椅子が加わったり、季節によって絵を掛け替えたり。住んでからの楽しみを受け止められる場所も残しておきます。 建築に合わせて寸法を決める収納と、動かしながら使う家具の役割を整理すると、部屋が使いやすくなります。造り付けの家具は、壁や窓との関係を細かく整えられます。一方、置き家具には、配置を変えたり次の住まいへ持っていったりできるよさがあります。 木や石、布などの組み合わせも、実物を近くに置いて確かめたいです。床や壁のサンプルと、椅子の張地、テーブルの仕上げを並べてみる。同じ木でも色や艶、木目の強さが違うので、その関係を見ながら全体を整えていきます。 お気に入りの一脚が、気持ちよく収まる場所がある。長く付き合ってきた絵を、毎日ふと眺められる。シンクスタジオでは、その方が大切にしているものを手がかりに、住まいの寸法や光、素材を考えていきたいと思っています。