中庭・コートハウス
カーテンを開けて暮らせる家 中庭でつくる開放感
杉本です。
せっかく庭に向けて大きな窓をつくっても、外からの視線が気になって、いつもカーテンを閉めている。それでは、
少しもったいない気がします。
朝起きて、窓の向こうに木が見える。食事をしながら、今日の空の様子が分かる。天気がよければ、そのまま外に
出てみる。そんな暮らしを考えるとき、中庭はひとつの方法になります。
窓の大きさより、窓の向こうを考える
家の開放感を考えると、大きな窓や高い天井に目が向きます。もちろん、それも大切です。ただ、窓を大きくすれ
ば、気持ちよく暮らせるとは限りません。
その向こうに何が見えるか。反対に、どこから室内が見えるのか。道路を歩く人、隣の家の窓、車が出入りする場
所。敷地の周りを見ながら、開くところと、視線を抑えるところを考えていきます。
新庄のスクエアコートハウスでは、交通量の多いバイパスからの視線や騒音に配慮し、外壁の開口を抑え、中庭か
ら光を取り込む計画としました。
外から見ると閉じた印象でも、家の中では空や緑が広がっている。ソファに座ったとき、視線が窓で止まらず、庭
の木やその向こうの空まで届く。そのつながりが、室内の広さとはまた違う開放感を生むのだと思います。
囲めばいい、というわけでもない
ただ、庭を建物や壁で囲めば、それでうまくいくわけではありません。
周囲の壁が高すぎると、庭に立ったときに圧迫感が出ることもあります。隣家の二階からの視線や、季節による光
の入り方も考えておく必要があります。
庭の幅と建物の高さ。窓の位置と軒の深さ。室内のどこに座って、どちらを見るのか。平面図だけで決めず、断面
や模型でも確かめながら、その敷地に合う関係を探していきます。
昼間は気にならなくても、室内に明かりがつく夜には見え方が変わります。また、中庭を挟んで向かい合う部屋同
士の視線にも配慮したいところです。
全部を隠すというより、気になる視線を抑えながら、空や木々に向けて気持ちよく開く。その加減が大切だと思っ
ています。
カーテンを使わないこと自体が目的ではありません。閉めておく必要のない時間や場所を、設計によって増やして
いくという考え方です。
庭を、毎日の暮らしの近くに
中庭には、眺める楽しさがあります。木の枝に新しい葉が出たり、雨の日に石や土の色が変わったり。部屋の中に
いても、外の変化が目に入ります。
そこに少し腰掛けられる場所があると、庭との関係はまた変わります。コーヒーを持って出る。夕方、少し風に当
たる。何かをするためでなくても、ちょっと外に出て座れる。そのくらい身近な庭がいいですね。
上芳養のコートハウスでは、道路からの視線に配慮して石塀を設け、LDKと庭のあいだに軒下の縁側をつくりまし
た。室内からの出やすさや、日差しを避けられる場所まで、一緒に考えています。
床の高さや素材をどうつなぐかも、庭への出やすさに関わります。ただし、見た目の連続感だけで決めず、雨水の
処理や窓まわりの納まりも丁寧に検討します。
家の中で、気を張らずに過ごせること
カーテンを開けて暮らせることは、外の景色が見えるだけでなく、家の中で余計な気を使わずに過ごせることでも
あると思います。
大きな中庭でなくても、窓辺に座ったときに一本の木と空が見えるだけで、居場所の感じ方は変わります。敷地の
条件と暮らし方をよく見ながら、どこに庭を置き、どのようにつながるか。
シンクスタジオでは、建物と庭を一緒に考えながら、つい窓の外へ目を向けたくなる住まいを設計しています。
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